2024/01/11

そばで地元小学生の食農活動展開中(後編) 

小学生と「向笠そばを楽しむ会」の役員さん

磐田市の向笠(むかさ)地区の「向笠そばを楽しむ会」の皆さんは、向笠小学校の3年生対象に食農活動を20年以上継続し、多くの卒業生がそば打ちを体験し誇りにしてくれていることを大変うれしく思っておられます。
今年度も21名を対象に活動しています。
そばの食農活動とは、種まき、刈取り、脱穀、製粉、そば打ちで、
後編では刈取りからそば打ちまでの四つの工程をレポートさせて頂きます。
(前編では種まき後の花が咲くまでをレポート)

注)・食農とは農業体験などを通して「食」を生み出す農業、地域、自然の役割について理解を深める
   目的の取り組みです。
  ・食農活動については「向笠そばを楽しむ会」の役員さんに伺いました。
  ・学校での生徒の感想記録は牧野教頭先生に伺いました。

指導を受けながらの刈り取り

11月9日、秋晴れの天候のもと、3年生の刈り取り実習が行われました。
8月31日に種をばらまきした畑は見事に実っていました。「向笠そばを楽しむ会」の方から鎌
の使い方、稲わらでの束ねかた(苗うち結び)を教えて頂きそして実習となりました。
慣れない鎌と苗うち結びに苦戦しながら約2時間で畑と学校の花壇の両方を刈り終え
生徒からは「早くそばを食べたい」との声が出てきました。
最後に生徒から会員へのお礼の挨拶で刈取り作業は終了しました。
会員たちはこの後、刈り取った束を次の脱穀作業に向けて乾燥させる作業を行い一日の終了
となりました。

昭和時代の農器具で脱穀中

11月17日乾燥された束からそばの実を取る脱穀作業が行われました。
この作業には昔ながらの足踏み脱穀機と殻と実を分別する唐箕(とうみ)が使われますが、
実際には脱穀は(脱穀機)ゴミ取りは(ふるい)そば選別は(唐箕)の3工程を順番に体験しました。
使用された昭和時代の貴重な農機具は、向笠小学校と「向笠そばを楽しむ会」で所有しています。
会員たちは前日の準備、当日の活動、後片付けと相当負荷の掛かる作業でしたので、
会長さんに大変な事をボランティアで20年以上継続したのは凄いことですねと言ったら、
会長さん曰く「道で会った人から『孫の打ったそば美味しかったよ!』と言われ、それが全ての原動力になる」と笑顔が返って来ました。
私はこの笑顔が忘れられません。

石臼にも挑戦の製粉作業

11月24日、脱穀したそばの実を粉にする作業が行われました。
この作業では5工程①石抜き②ごみ取り③粗挽き④殻取り⑤製粉(石臼と機械製粉の2種体験)
の作業を体験しました。
作業終了後に会長さんから生徒に「今日一番楽しかった作業は?」の質問に、
生徒からは「製粉…種が粉に自動的になるところ」との返事がありました。
今年度の種から粉に回収される率は62%で過去最低の率。
過去の回収率は70%後半~80%前半で、原因は天候や畑の条件が悪かったことのようです。
翌日にはもう別の畑でもみ殻散布をして、来年の準備をしたとのことです。

美味しいそばになる様に頑張ってます

12月15日今年度の食農活動の最後の項目であるそば打ちが行われました。
最初に会長さんから今迄の各作業の振り返りを生徒と共に行いました。
① 種まきではまき方の種類 ② 刈取りでは束を結ぶ名前 ③ 脱穀では使用した機械の名前
④ 製粉では石臼を使ったこと等を確認しました。
続いて3~4名のグループに分かれて「向笠そばを楽しむ会」の会員によるお手本打ちの後、
うち方と注意事項説明があり、各グループ毎に体験がスタートしました。
そば打ち手順は①水廻し②練り③延ばし④たたみ⑤切りの順に作業します。
生徒たちは会員の励ましの言葉に助けられながら、練り作業や刃物の扱いに挑戦し、
自分が打ったそばが完成した時は、本当に喜んでいました。
そして、家に持ち帰る為のパックに詰めて体験は終了しました。
生徒たちは最後まで頑張ったことを家族に報告した家族団らんのひと時が、記憶に残り一層美味しいそばを頂けたと思うと、この活動は本当にに素晴らしい食農活動であったと強く思いました。

体験記録ノートです いっぱい記録しました

写真は3年生が体験した全員の体験ノートです。
牧野教頭先生よりお借りして各作業の一部を原文で照会させて頂きます。
脱穀作業の感想
  ・だっこくきはあぶないけど、意外と楽しかった 
  ・だっこくきでは、すごく手が引っ張られる感じがして面白かった
  ・どうしてこれを使うと実が取れるのかふしぎに思った
  ・ざるで草や実をとるのが、手が痛くなった
  ・重い実と軽い実はどうして分けるのか聞いてみたい
  ・とうみがレバーを引くだけで出てくるのでびっくりしました
製粉作業の感想
  ・石うすを回すときはかなり力がほしかった
  ・石うすは左回りにしないとかみ合わなくてこながでてこないことをしった
  ・そばの実には白い食べられる実が入っているのは知らなかった
  ・いしうすの中は平べったい形になっていた
そば打ち作業の感想
  ・そばをきるところがむずかしかったです。きったら、ほうちょうを左にかたむけ
   また切るのくりかえしだった。あまりかたむけすぎるとめんが太くなってしまう
   ので気をつけた
  ・わたしはそばうちしてとくに心にのこったことは3つあって一つ目は水まわしで
   少しずつ水をくわえていくことをはじめて知りましたあとまぜていりると少し
   だけ黄色くなっていて体けんしてみなきゃ分かりませんでした。もう一つは
   そばを切ることです。こま板で少しずついくのが大へんでそばは思ったい上に
   切りにくかったです。さいごはこなから細いめんになっていったことです。
   さいしょはさらさらで本当にめんになるのかなと思いました。ですが水を入れ
   ていったりのばしたりしてぶじにめんになってよかったです。
   どんな味になるのか楽しみです。
  ・わたしがそばうちをしてむづかしかったことはそばをホウチョンで切ることです
   小林さんが「ぐっと力を入れてきるよ」とあどばいすをもらったので上手にき
   切ることができました。次に分かったことは、そばをたたむときです。そばを
   たたむときに気をつけることは、わっかを自分の方にむけることです。
   今日は、そばを食べてみました。あんなにとげとげの種からこんなおいしいそば
   になるとはじめて知りました。
  ・そばうちはいろいろなこうていがあった。中でもそばをきるのが楽しかった。
   さいしょはとても太くなってしまったけど、さい後にコツがつかめてじょうず
   にきれた。うれしかった。教えてくれたのとみながさんの教え方がじょうずで
   分かりやすかった。家で食べた。とてもおいしかった。お店よりもなんだか
   おいしくかんじた。

以上、小学生が食農活動で身に付けた技術、感じ方、観察力、探求心が将来の大きな
財産になったと信じています。大きく成長される事を祈念いたします。
今回5か月間の長期取材に全面協力くださった「向笠そばを楽しむ会」の役員さん、
会員さんに心より御礼申し上げます。
また、学校での活動記録ノート作成、そして公開にご理解を賜り、武山校長先生、
牧野教頭先生、関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

最後になりましたが皆様方の益々のご活躍を心よりお祈り申し上げます。
   

 

取  材:健康・生きがいづくり推進員  山本純一(西部地域担当)

前のページに戻る

Recommend

おすすめ動画Recommend

  • 高齢者にやさしい!ご当地体操/ストレッチ すこやかエブリデー静岡

    さあ、心も体もリフレッシュしよう!!静岡県内で県民の健康増進を目的に活動する団体及び指導者の方、営利を目的としない県内の個人及び県外の団体、指導者の方に無料で配布をします。※原則として、DVDは1人(1団体)あたり、1枚まで配布をします。詳しくは、こちらをご覧ください。

  • 静岡県の百寿者に聞いた!健康長寿の秘訣の紙芝居

    静岡県(長寿政策課)の委託により、しずおか健康長寿財団が県内のお元気な百寿者(百歳以上の方々)を訪問して、暮らしぶりや興味のあることなどを伺い、その結果を「紙芝居」としてまとめました。 高齢になっても、心身ともに健康で、いきいきと活躍できるヒントが見つかると思います。

健康体験・動画を見る